【ミニコラム】「人的資本」とは?社労士の新たな役割について

みなさんこんにちは。

今日は「人的資本開示」について綴っていきたいと思います。

突然「人的資本開示」と言われても…と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
以下に書いていく中で、「人的資本開示」の重要性がわかってくると思います。

ぜひ、参考程度にお読みいただければと思います。

1 人的資本開示とは何か

近年、企業の持続可能性や社会的責任が重視される中で、「人的資本」の重要性が急速に高まっています。

人的資本とは、従業員のスキル、経験、健康、働き甲斐など、企業の成長に不可欠な「人」に関する資源のことです。

2023年以降、上場企業には人的資本に関する情報開示が義務化され、投資家や社会に対して人材戦略の透明性が求められるようになりました。

2 社労士が果たすべき新たな役割

人的資本の開示は、単なる数値報告ではなく、企業の人材戦略そのものを問うものです。

社労士は、労務管理の専門家として以下のような領域で企業を支援することが期待されています:

・離婚率や平均勤続年数などの指標の算出と改善提案
・多様性(ダイバーシティ)や育児・介護制度の活用状況の分析
・健康経営やメンタルヘルス施策の効果測定
・教育・研修制度の整備とリスキリング支援

これらの情報は、人的資本の「定量的・定性的な開示」に不可欠であり、社労士の知見が活かされる場面が増えています。

3 実務で求められるスキルと対応

人的資本開示に対応するためには、従来の労務管理に加えて、以下のようなスキルが求められます:

・データ整備・分析力:人事データの収集・整理・可視化
・制度設計力:人的資本に関する指標を企業の実態に合わせて設計
・経営視点:経営層と連携し、人的資本戦略を立案・実行
・ITリテラシー:クラウド勤怠・人事システムとの連携や電子申請対応

社労士がこれらのスキルを身に着けることで、人的資本開示を通じた企業価値向上に貢献できるようになります。

4 中小企業への展開可能性

人的資本開示は上場企業が中心ですが、今後は中小企業にも波及する可能性があります。

特に、採用力強化や従業員定着率向上を目指す企業にとって、人的資本の「見える化」は有効な手段です。

社労士が中小企業に対しても人的資本の整備・開示支援を行うことで、地域経済の活性化にも繋がるでしょう。

5 社労士の未来と人的資本

人的資本の開示は、単なる情報提出ではなく、企業の人材戦略そのものを社会に示す重要な取り組みです。

しかし、実際には「どの指標を選ぶべきか」「どのようにデータを整備すればよいか」「開示後にどう活用するか」といった課題に直面する企業も少なくありません。

そこで、社労士の専門性が大きな力となります。

労務管理の実務に精通した社労士は、人的資本に関する情報の収集・整理・分析を支援し、企業の実態に即した開示内容の設計をサポートできます。

また、従業員の定着率や多様性、健康施策など、開示対象となる指標の改善に向けた制度設計や運用支援も可能です。

特に、中小企業においては、人的資本の整備が採用力や企業イメージの向上につながるため、社労士との連携は「攻めの人事戦略の第一歩」となります。人的資本開示を単なる義務ではなく、企業価値を高めるチャンスとしてとらえるためにも、社労士の知見を積極的に活用することが、これからの人事・労務の鍵となるでしょう。

困ったことがあれば、ぜひ労務のプロ、社会保険労務士を頼ってくださいね。