12月から本格化する「マイナ保険証」切り替え、企業はどう対応すべき?

2025年12月から、従来の健康保険証に代わり「マイナ保険証」への切り替えが本格化します。

これは、政府のデジタル化推進政策の一環であり、医療現場の効率化や本人確認の精度向上を目的としています。

しかし、企業や事業者にとっては、従業員への周知や社内手続きの見直しなど、対応すべき課題が少なくありません。

過去の記事では、従業員向けにマイナ保険証への切り替えについてご紹介しました。

マイナ保険証時代の到来!&インフルエンザと労務管理の新常識

今回は、事業者向けの解説になります。

マイナ保険証の仕組み、切り替えスケジュール、企業が準備すべきこと、そして注意点をわかりやすく解説します。

1 マイナ保険証とは?

まず、マイナ保険証とは何でしょうか?

これは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みです。

医療機関や薬局でカードを提示することで、オンライン資格確認が可能になり、保険証の持参が不要になります。

従来の保険証との違いを理解することは、企業が従業員に説明する際に重要です。

このように、マイナ保険証は医療DX*の基盤となる仕組みです。医療情報の連携や薬剤情報の確認がスムーズになります。

*DX…デジタルトランスフォーメーション

2 切り替えスケジュールと法的背景

次に、切り替えのスケジュールと法的背景を確認しましょう。

政府は、2025年12月を目途に従来の健康保険証を廃止し、マイナ保険証への一本化を進める予定です。厚生労働省の方針では、2025年12月以降は原則マイナ保険証のみとなり、従来の保険証は「経過措置」として一定期間利用可能ですが、早めの対応が求められます。

企業に求められる対応は、単なる周知にとどまりません。

従業員への説明健康保険組合や協会けんぽとの連携、そして社内システムの更新など、複数の準備が必要です。

特に、人事・総務担当者は、資格確認や個人情報管理のフローを見直すことが不可欠です。

3 企業が準備すべきこと

企業が対応を進めるうえで、重要なポイントは3つあります。

1.従業員への周知

・マイナ保険証とは何か
・切り替え期限
・利用方法

を明確に伝える必要があります。

社内ポータルや説明会、FAQの整備が効果的です。

2.社内手続きの見直し

健康保険資格取得・喪失の手続きがオンライン化されるため、業務フローを再設計する必要があります。

また、マイナンバー管理と個人情報の強化も欠かせません。

3.セキュリティ対策
マイナンバー情報を扱うため、アクセス権限や暗号化の徹底、従業員教育による情報漏洩防止が求められます。

4 よくある質問と注意点

ここで、よく聞かれる質問を整理しつつ、注意点を解説します。

Qマイナ保険証が利用できない場合はどうすればよいのか?
この場合、従来の保険証が当面は利用が可能ですが、医療機関によってはマイナ保険証対応が必須になるケースもあります。そのため、従業員には事前に説明しておくことが必要です。
Q高齢者や外国籍従業員は?
マイナンバーカード取得が難しい場合、企業がサポートする体制を整えることが望まれます。
Q医療機関でのトラブル防止策は?
暗証番号の管理やカード忘れ時の対応を従業員に周知することが必要です。
これらの質問からわかるように、マイナ保険証への切り替えは単なる「カードの置き換え」ではありません。
企業は従業員がスムーズに利用できるよう、事前の情報提供とサポート体制の構築が不可欠です。
特に、外国籍従業員や高齢者など、カード取得にハードルがある層への配慮は重要です。
さらに、医療機関でのトラブルを防ぐためには、暗証番号の管理やカード忘れ時の対応を徹底することが求められます。
こうした対応を怠ると、従業員が医療機関で困るだけでなく、企業の信頼にも影響します。
企業がとるべきアクション
・FAQを整備し、問い合わせ対応をスムーズに
・社内研修や説明会で従業員の理解を深める
・特定の従業員層(高齢者・外国籍)への個別サポート

おわりに

マイナ保険証への切り替えは、企業にとって単なる制度変更ではなく、デジタル化への大きな一歩です。

従業員の利便性向上、医療情報の効率化、そして企業の業務負担軽減につながる可能性があります。

今のうちから準備を進め、スムーズな移行を目指しましょう。

参考: