社労士が解説!振替加算とは?~年金の”つなぎ役”としてのしくみと注意点~

「夫の年金についていた”加給年金”がなくなったら、急に年金が減った気がする…」

そんな声をよく聞きます。

実はそれ、「振替加算」というものが関係しているかもしれません。

振替加算は、特定の条件を満たした人が受け取れる、
年金の上乗せ制度なのです。

しかし、制度の存在すら知らずに損をしている方が意外と多いのです。

このコラムでは、社会保険労務士の立場から、
「振替加算とは何か?」
「誰がもらえるのか?」
「金額や注意事項は?」
など、公的な情報を用いてわかりやすく解説していきます。

1 振替加算とは?


振替加算
とは…

老齢基礎年金を受給する方が、配偶者の加給年金の対象でなくなったときに、その「代わり」として支給される年金です。

これは、
加給年金=年金版の”配偶者・子の手当て”
が受け取れなくなるタイミングで、それを埋め合わせるような意味合いで上乗せされるものです。

昭和の専業主婦世代に多く見られる仕組みといってもよいでしょう。

2 支給要件

では、振替加算をもらえるひとはどんな方なのか?

以下4つの要件すべてを満たした場合に支給されます。

1老齢基礎年金の受給権者であること
2加給年金の対象だった配偶者の年金が支給停止・または終了したこと
3テキ昭和41年4月1日以前に生まれていること
4旧法(昭和61年以前)での国民年金第1号被保険者期間等があること
ポイントは、上記4つの要件をすべて満たしていることです。

3 金額と計算方法

振替加算の額は、生年月日により異なり、「定額」です。

計算式としては、

(224,700円×改定率)×(老齢基礎年金の受給権者の生年月日に応じた一定の率)

この「老齢基礎年金の受給権者の生年月日に応じた一定の率」は、具体的には以下の数字になります。

生年月日政令で定める率
大正15年4月2日から昭和2年4月1日1.000
昭和36年4月2日から昭和41年4月1日0.067

例えば、昭和16年4月2日~昭和17年4月1日生まれの人であれば、

年額 約220,400円(月額約18,366円)

※昭和41年4月2日以降生まれの方は振替加算の対象外です。
※支給開始時期によっては、満額出なく一部加算になることもあります(遅れて年金受給資格を得た場合など)。

4 加給年金と振替加算の関係

よくある誤解として、以下のような点があります。

Q加給年金が終了すると、その後は何ももらえなくなる?
A振替加算が引き継がれる可能性があります。
Q「振替加算」とは、本人の年金に自動的に加算されるものですか?
A対象要件を満たさないと支給はされません。
     自動的に上乗せされるというものではありません。
Q振替加算は誰でも受け取れますか?
A昭和41年4月1日生以前生まれで、要件に該当している方のみになります。

5 社労士からひとこと

振替加算は、加給年金とセットで理解されるべき制度です。

対象者が限られているため、「自分には関係がない」と見落とされやすいですが、該当する世帯にとっては年額20万円超えの大きな支えになります。
年金は「申請主義」————気づかなければもらえないケースもありますので、心当たりがある方は年金事務所や私たち社会保険労務士に気軽に相談してみてくださいね。